保護者との相談で大切にしていること

保護者さんの家庭での取り組みの話を聴くのが好きです。

 

その親御さんなりに、我が子との付き合い方をオリジナルで編み出しているからです。

専門家は「発達障がい」のことは知っているかもしれませんが、「その子」のことは知りません。

 だから、その子への具体的な関わり方に、ヒントは出せても、ぴったりとした答えは持っていません。

 


「どうすればいいですか?」と親御さんから問われることは多いです。

けれど、「今実際、どのようにされていますか?」「どうしたいなあと思っていますか?」と、つい聞き返してしまいます。


親として我が子をどのように育てているのか、そしてこれからどうなってほしいと願っているのか、まずそこが知りたいのです。



生まれてから、いや生まれる前から、何年も、それこそ24時間一緒に生活しているわけです。


「発達障がい」のことを知らなくても、目の前の我が子の様子を見ながら、あれこれ試してみて、うまくいく方法、その子と付き合うためのノウハウを積み上げています。


そしてそれは、専門家が話す、いわゆる「発達障がいの対応」とかなり共通していることも多いです。



いや、専門家よりも、もっとリアルで、細やかで、発想豊かに、クリエイティブな知恵にあふれているかもしれません。

専門家なんて名乗っていますが、何て貧相な想像力しか持ち合わせてないんだろうと、自分にガッカリすることもあります。



まあ、そんなことより(笑)、その知恵をお聴きすることの方が、こちらの想像力と創造力が刺激されるし、アイデアが湧いてきてワクワクします。


私の役割は、親御さんがすでにやっている子育ての知恵に、「発達障がいの特性」という視点を乗っけることだと考えています。


今の取り組みの重要性とその根拠を、脳と神経の情報処理特性に沿って解説します。
ほんの少しアレンジを加えたやり方を提案することもあります。



それと、親御さんは、今の日々でいっぱいいっぱいなことが多いです。


成人期の事例からわかってきている、ちょっと先を見越した今やっておくこと、将来を意識した方向性を話すこともあります。


本人の成長に応じて、親としての対応は変わってきます。

幼児期に習ったサポートの方法は、学齢期や思春期に合わなくなっています。

成人期にはまた違うスタンスでの関わりが必要です。


いつ頃シフトしていけばいいか、そのタイミングを伝えることもよくあります。



子育ては、結果がすぐ出ません。


年齢的にまだ難しいこともあります。
経験することで本人が理解、納得していくこともあります。

今はまだ早いかもしれないとか、これをやりながら、じっと待っていたらいいとか、何年くらいかかりそうといった見通しを話題にすることもあります。


それは、毎日暮らしにちりばめられた、キラリと光る断片を丁寧に拾い上げ、意味やつながりを持たせていく作業だなあといつも思います。

 

だから、保護者との面接相談は、私が一方的に専門的なことを教える時間ではなく、一緒に創り上げていくような感覚です。


いえ、もしかすると、ほんのちょっとのアシスト程度かもしれません。


本人自身が通える場所は、少しずつ増えてるのでは、と思います。
カウンセリングルーム小箱も、その一つではあります。

ですが、もし我が子の子育てに「こうして進めていけばいいのだ」という方向性が見えていなければ、まずは親御さん自身が相談に通って来てほしいと思います。(もちろん講座等の受講でも構いません。)


「療育」や「学校(特別支援教育)」はいずれ終わるけれど、家庭生活はずっと続きます。
本人自身も、何より親や家族に理解、応援してもらいたいと願っています。

だから、親御さんが「発達障がいの特性」の視点を持ち、必要なサポートを考えていけるようになることは必須です。



もちろん当ルームでなくても構いません。
医療機関や親の会、SNS等でもいいと思います。


これまでに培った子育ての知恵を尊重されながら、ちょっとアイデアを広げてくれつつ、少し先を一緒に考えていける、そんな相談場所、相談相手を、保護者さん自身もぜひ、見つけていただけたらなあと思います。


 

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※ここに書いたことは、これまでの実践経験から得た知恵みたいなものです。研究による検証などは行っておらず、今後変わり得ることがありますので、そのつもりでお読みください。


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