地域でペアレントメンターを養成する意味

公的機関にいた頃、ペアレントメンター事業(養成や派遣など)に携わっていました。

独立してからも、細々とながら関わっていたところ、今年の2月に久しぶりに機会をいただき、心に深く響く体験となりました。


そんな中、改めてつらつら考えたので、ここにまとめておこうと思います。

ペアレントメンターとは、厚生労働省の発達障害児者支援施策として、家族支援の一つに位置付けられています。

地域の養成研修を経て、行政に登録することで活動します。
個人で名乗る資格とは違い、活動はボランティアに近いものです。

興味のある方は、書籍ガイドブック研究会ホームページなどをご参照下さい。


ペアレントメンターの役割は、同じ親の立場からの「傾聴・共感」です。
多少の地域差はあるものの、それ以外はしないと考えてもらって構いません。

だから、支援者・専門家の代わりにはなりません。
地域に支援者・専門家が不足しているから、養成しているわけではないです。


高い共感性をもつペアレントメンターによる傾聴は、支援者・専門家が敵うものではありません。

支援者・専門家はペアレントメンターの養成や活用、活動へのサポートを担います。


ですが、事業に携わる中で、支援者・専門家の役割はそれだけではない、と思うようになりました。


ペアレントメンターの傾聴の、その先の支援は支援者・専門家に託されていきます。

ペアレントメンターの方々が成し得た仕事の素晴らしさに見合うほどの専門性を、果たして支援者・専門家は持っているのだろうか。

初めてそう思ったとき、自分も含めた地域の支援力を振り返って、途方もない気分になったことをよく覚えています。


支援者・専門家は、ペアレントメンターに出会い、協働することで、親・保護者としての心情やリアルな声を聴き、発達障がい児者やその家族にとって、本当に必要なサポートは何かを知ることができます。

何より、託されるに値する、より高い専門性を身につけるべく日々研鑽し、必要なサポートを提供できる地域の支援体制を構築していくこと。

それこそが、時間と予算をかけて、地域でペアレントメンターを養成していく真の意味なのでは、と考えるのです。



ここに書いたことは、これまでの実践経験から得た知恵みたいなもので、研究による検証などは行っておりませんし、今後変わりうることもありますので、そのつもりでお読みください。

※この記事へのご意見やご感想などがありましたら、こちらまでお寄せ下さい。ただし、個別の相談にはお答えいたしませんのでご了承ください。