今週、NHKあさイチで、発達障がいのグレーゾーンが取り上げられましたね。
録画して途中まで観ていたんですけど、どうしても記事が書きたくなりました。
シリーズとはいえ、MCが交替したばかりで、はじめての発達障がいの特集でした。
出演者の皆さんが、やや戸惑った表情でコメントされているのに多少ヒヤヒヤしつつも、福岡県民としては、博多華丸大吉さんが発達障がいの啓発に協力してくれたら、随分と理解が広がるだろうにな…と妄想していました(^^)
さて、「発達障がいのグレーゾーン」という言葉です。
他にも「ボーダー」「傾向」「リスク」「っぽい」「特性はあるが診断基準に満たない」など、色々な言い方がされますが、ほぼ同じ意味で捉えてよいと思います。
受診したけど、グレーゾーンです、と言われただけで終わってしまった事例ってよく聞きます。
どうすればいいかわからないまま、日々を過ごされている方はきっと多いのでしょう。
発達障がいは目に見えない障がいのためわかりにくいですけど、グレーゾーンの状態となると、ますますあいまいでわかりにくくなりますよね。
ちなみに、テレビ番組では以下のように定義されていました。
※番組では「発達障害のグレーゾーン」の定義を、「専門家に発達障害の可能性を指摘されたものの、医師によるはっきりとした診断はついていない状態」としました。
引用:NHKあさイチ『シリーズ発達障害 子どもが「発達障害かも」と言われたら…』
http://www1.nhk.or.jp/asaichi/archive/180416/1.html
特集を観ながら、実際にこの言葉が使われるのは、いくつかの場合があるな...と思いました。
①本人の状態像として本当にグレーな場合
②本来なら診断される状態だけれど、はっきりさせることに躊躇している支援者や保護者が使う場合
③診断名は告げられたが、説明の複雑さ(または説明不足)に、ショックや抵抗感が相まって、本人や保護者が充分に理解していない(または認めたくない)場合
①についても、専門家によって診断されるラインに違いが生じるので混乱しやすいのですが、②や③など障がい受容が関係してくると、グレーゾーン概念が余計にややこしくなっているように感じました。
ただし、本人の困り感としては、どれも変わらないように思います。
それなりにやっていける力がある分、周りも(時には本人自身も)、期待や要求水準が上がりやすいです。
失敗や叱責された経験が続けば、年齢を重ねるうちに行き詰まっていきます。
二次障がいが併発しやすいのは、むしろグレーゾーンの方に多いように思われます。
つまりは、「発達障がいのグレーゾーン」と言われることは、「発達障がいでない=発達障がいの対応が要らない」ではありません。
発達障がいの特徴を少しでも持っているのだから、「発達障がいの対応をした方がいい」という意味だと考えます。
相談に行こうが行くまいが、子どもの頃にグレーゾーンだと思ったら(または言われたら)、何かしらの対応を始めてほしいな、と切に願います。
そして支援者は、支援のスタートを診断ありきにしなくてもよい、と保護者にアドバイスしてほしいです。
診断があると、教育や福祉などの公的なサービスが使えるようになりますが、身近な大人の関わりは、診断を受けずともやり始めて構いませんし、やって損はない!と言えます。
じゃあ、どのように関わればよいのか。簡単なポイントを以下にまとめますね。
1)肯定的に伝えること(否定形を使わない)
×→しちゃダメ、やめなさい、※※したら◇◇ができなくなるよ(嫌われるよ、□□になれないよ)...
〇→こうしようね、それでいいよ、◎◎したら△△ないいことがあるよ、やったね、さすがだね...
2)具体的に伝えること(抽象的な言い方をしない)
ちゃんとしなさい→椅子に座って本を読んで静かに待っててね
きれいになるまで洗いなさい→表と裏を10回ずつスポンジでこすってね
やさしく言いなさい→ニコッと笑顔でゆっくりお話ししてね
3)視覚的な手がかりを用い、自立・自律を目指すこと(声かけを減らして、任せること)
予定やToDoをカレンダーやメモに書いておく
伝達は、フセンやホワイトボード、メールやLINEで行う
完成形の見本、マニュアルや動画を活用して、やり方や手順を教える
ほめ言葉こそ書いて残す(シール、スタンプ、花丸、いいね・OK・Goodという文字など)
4)本人の言い分を尋ねること(大人の考えを押しつけないこと)
やり方を伝えた後は、本人のペースやタイミングを尊重し、途中であれこれ口を出さない
「どう思う?」「どうしたい?」と本人の意思や気持ちを聞く
うまく言えないときには、「〇〇?それとも△△?■■?」と選択肢を出してみる
細かいことは他にもあるのですが、はじめの一歩として試してほしいことです。
簡単そうに見えますが、やり始めると意外に難しいかもしれません。
そしてこれらは、発達障がいに限らず、どの子にも有効です。やって損はない、と言えるのはそのためです。
3)がちょっと特別に思うかもしれませんが、ビジネスの世界で書面で明示することは当たり前にやりますよね。
それを家庭に取り入れるだけ、と考えてもらえるといいです。
ここから始めて、もっと知りたければ、発達障がいの書籍や、学習会なども利用されるとよいと思います。
また、当ルームでも、確定診断はなくても、保護者からの対応についての相談はお受けしていますので、ぜひご活用ください。
発達障がいのグレーゾーンの人こそ、幼い頃から周囲の理解とちょっとした支援を必要としている存在です。
と同時に、理解して育てていけば、社会に適応していく可能性も十分秘めているのだと思います。
※ここに書いたことは、これまでの実践経験から得た知恵みたいなもので、研究による検証などは行っておりませんし、今後変わりうることもありますので、そのつもりでお読みください。
※この記事へのご意見やご感想などがありましたら、こちらまでお寄せ下さい。ただし、個別の相談にはお答え いたしませんのでご了承ください。