最近はあまりブログが書く時間が取れず、(続く)としているテーマもそのままになっていて、申し訳ありません。
今回、ちょっと思いついたので別の話です。
発達障がいの相談で、トイレなど生活習慣のお話は意外に多いな~ということで、まとめてみました。
幼児期の発達相談では、トイレットトレーニングについての相談をよく受けます。
私自身、若い頃は、子育て経験がないこともあり、どう答えたらいいか悩んでいたことの1つでした。
実はトレーニングが進まない背景に障がい特性が隠されてることが多いんですね。
主に感覚過敏、変化への抵抗、身体の不器用さ(身体感覚の鈍さ)、などです。
ですので、幼児期のしつけがしにくいことにつながりますし、場合によっては、学童期までトイレの相談が続くこともあります。
それと、成人期の相談を受ける際にも、生育歴にトイレの問題(オムツがなかなか取れなかった等)があると、その人の元々持つ障がい特性が把握しやすくなります。
(思春期・成人期の相談のコツは、一次的な障がい特性から来る問題か、二次的に起こった問題かをきちんと分けて考えることだからです。)
まずは感覚の問題です。
例えばトイレの流水音、トイレが臭い、トイレが暗い、便座が高くて不安定に感じる、便器の穴が吸い込まれそう、などの恐怖感や嫌悪感からトイレそのものを嫌がって行きたがらない、などがよく聞かれます。
なので、嫌な感覚刺激を減らしたり(例:電球を明るいものにする)、快の感覚グッズ(例:好きな匂いの消臭剤)を置いたり、好きな玩具やキャラクターなどで楽しい空間を作るなどの対策が必要です。
変化への抵抗は発達障がい児者に多くある特性です。
生まれたときからずっとオムツを履いてたわけですから、『トイレでおしっこをする』なんて、大きな大きな変化ですよね。
それでも、誘われて成功したら、そのままトイレでの排泄に移行できる子もいます。
ですが、もしうまくいかず嫌な思いをしたら、次は絶対に行かない!となります。
これは完璧主義、ちょっとの失敗を大失敗と捉えてしまう特性とも関係します。
また、オムツを外してパンツでスースーする感覚が今までと違うので、ビックリしてオムツを履き続ける子もいます。
ですので、なるべく成功するタイミングを見計らうことが必須です。
すでにもう絶対行きたくない、と本人が意固地になってるときは、できれば数ヶ月くらいリセット期間を作って、仕切り直すことをオススメします。
パンツに慣れない場合は、ちょっとずつ履く時間を取るという方法もあります。
いっそのことオムツを全てなくしてしまう、という方法がうまくいくときもあります。
変化に抵抗する場合、時間をかけて付き合うにしろ、一気に外すにしろ、親が感情的にならずに、覚悟を決めて実行することがポイントかもしれません。
最後に身体の不器用さについてですが、この場合、尿意を自覚できるようになる時期が一般のお子さんよりも随分と遅れやすくなります。
具体的には、お座りや歩き始めなど運動発達が遅い、ハイハイをしないなど変わった発達過程だった、スプーンの使用やボタンはめなど手先が不器用、などのエピソードがよく聞かれます。
運動とは、手足など筋肉に脳が命令を出して動かします。
不器用さや運動発達の遅れがあるということは、つまり脳と体の各器官との神経伝達がスムーズにいきにくい、神経ネットワークの発達に時間がかかると考えられます。
膀胱に尿が溜まったことを感じて排泄を命令するのは脳が行います。
身体の発達とともに、トイレに行きたいという尿意を自覚できるようになることで、トイレットトレーニングが可能になるのです。
ですので、トレーニングがうまくいかないのは、身体と神経伝達の準備が整っていなくて、タイミングではないのかもしれません。
他の子がもう自立しているからと、無理をさせてもうまくいかないので、トイレを嫌がるようになります。
排泄は必ず自立しますので、周囲が焦らずゆっくり待つことが大事です。
これは上二つの特性の対応にも言えます。
トレーニングが進まないと、大人が焦って必死の形相で迫ってくるので(笑)、子どももますます頑なになります。
大人の方がのんびり構えるようになったら、するすると外れた、ということもよくあるので、関わる側の余裕は大切なんだなといつも思います。
そして、学童期のトイレのことは、夜尿の相談が多いです。
やはり運動が不器用な子が多いなという印象です。
同じく、睡眠時の身体の神経伝達機能が成熟していないことから起こるようです。
泌尿器科を受診して異常がないのに夜尿が続くので、皆さんとても心配されます。
ただ、私が出会った事例では、身体的な異常がない限りは、ほとんどは思春期前にはなくなりましたので、やはり待つことが大事だなあと思っています。
生活習慣は他にも、歯磨きをしない、顔を洗わない、お風呂に入らない、髪の毛を洗わないなどの悩みが相談されます。
中学生以降でもよく見られ、やはり障がい特性が関係しています。
多くの親御さんはしつけの責任を感じるからでしょうか、言いにくそうにおっしゃられるので、「よくありますよ」と答えますと、驚いて、ちょっとホッとした表情をされます。
ですので、この障がい特性と生活習慣の関係について、支援者や周りの方々にも、もっと知ってほしいな~と思っています。
※ここに書いたことは、これまでの実践経験から得た知恵みたいなもので、研究による検証などは行っておりませんし、今後変わりうることもありますので、そのつもりでお読みください。
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