支援のお話

発達障がいの特性理解は、支援の第一歩です。

けれど、相談を色々受けてて思うことなのですが、

障がい特性(脳機能の違い)は、過去の「謎」は解くけれども、

未来に向けての「答え」を示すものではないな、ということです。

 

障がい特性の視点で見ていくと、なぜそうするのか?という

今まで謎だった行動のメカニズムはわかってきます。

 

ですが、これからどうするのか、どんな道を選ぶといいか、どう生きていくのか、

については、支援者は情報提供や相談にはのれますが、決められるものではなく、

本人や家族が自分たちで考えて、答えを出していくものなのだな、と思うのです。

 

これは、発達障がいがあってもなくても同じですね。

 

先のわからない未来を進んでいくことは、とても怖いけれども、

自分で舵取りして、納得した生き方を選んでいける方が、

豊かで幸せな人生になるのだと思います。

 

 

答えは個々で見つけていくものだから、支援には、なかなかマニュアルが作れない。

支援者の育成をしていると、そこはいつも悩みどころです。

 

研修会などでは、脳の機能に合わせた支援、とシンプルにお話しますが、

実際相談を受けていると、対応の助言や提案、情報提供も含めて、

どう支援していくかは、そう簡単にいかないものでして、

限られた時間で、多くの人に向けてわかりやすく伝えることはなかなか難しいです。

 

かといって、全国で研究や実践が進み、効果のある支援方法も随分わかってきたので、

個々人が自分のやり方で、学習、試行錯誤するのに任せるのも、

時間がもったいないし、何より本人にマイナスの影響が出てくるかもしれません。

 

 

なので、最近私が、支援に関して、ぼんやりと考えていることを

このブログで時々、まとめて書いていこうと思います。

 

実践から得た知恵みたいなもので、研究による検証はしておらず、

また、今後変わりうるものかもしれませんので、

そのつもりでお読みいただければと思います。

 

 

今回の話は、相談を受ける中で、支援の方向性を考える際に持っている視点です。

 

それぞれの項目を聞き取りながら、内容や程度を把握しつつ、

何か足りないものはないか、優先順位はどれか、現実的にやれることは何か、

などを、整理しているように思います。

 

1.本人の願いやニーズ

  ・本人が何をしたいのか、どうなりたいか
  ・好きなこと、興味関心、モチベーションが持てること
  ・成長やチャレンジへの意欲

 

2.本人の持つ能力やスキル

  ・何ができて、何ができないのか

  ・教えるとできそうなこと、経験しても獲得が難しいこと

  ・集中、継続する力

  ・体力、気力、エネルギー

  ・場面や状況によるパフォーマンスの違い

  ・変化やストレスへの耐性、修復や立ち直りの力

  ・自己表現、自己選択、責任を引き受ける力

  ・障がい告知の有無、自己理解の程度(※2017.10追加)

 

3.経験の場や機会

  ・これまで、どんな経験がどのくらいあるか

  ・活動、体験や練習ができる場所や機会があるか

  ・持っている能力を発揮できる場や機会があるか

 

4.他者の理解やサポート、仲間づくり

  ・理解者、特性に応じた関わり、支えてくれる人の存在

  ・相談できる人や場所、教える人、一緒に活動する人

  ・対等な仲間関係、趣味を一緒に楽しめる人

  ・公的なサポート制度の活用

 

5.二次障がいの程度と治療

  ・虐待、いじめなどの迫害体験、愛着関係の構築

  ・失敗感や不達成感による自信喪失、自己否定感、不安感

  ・トラウマ体験、フラッシュバックの程度

  ・思い込み、誤信念、強迫観念など

 

こういう視点でお話を聞きながら、

1のニーズを引き出し、2の能力に応じた、3の活動の場の情報提供をしたり、

2のスキルを具体的に教えたり、4の相談先を紹介することもあります。

 

また、5の二次障がいによって、2のスキルや3の経験の機会が狭まれていたら、

まずは治療の優先をすすめたり、実際にトラウマ体験を話してもらって、

一緒に気持ちを整理するような治療的な関わりをすることもあります。

 

話を聞いて、私はこっちを優先するといいな、と思って提案しても、

本人や家族は、違うことがニーズだったり、優先したいときもあります。

 

支援者側に、支援における引き出しや力量が不足している場合もあります。

私自身も、まだまだ勉強、修行中のことがたくさんあります。

 

事例があるとよりわかりやすいのでしょうが、ブログではここまでですね。

長文になりました。読んでくださってありがとうございます。

参考になることがあれば幸いです。

 

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 ただし、個別の相談にはお答えいたしませんのでご了承ください。