発達障がいの方は、他者とのコミュニケーションに苦手さを持っています。
最近、『傾聴』について講義をする機会をいただき、
傾聴とは何か、傾聴されることの効果などを文献で学び直していました。
その中で、傾聴されることにより、人は、自分自身に傾聴していく、
つまり、自分の内側に触れ、心の声を聴くようになり、
自分らしく生きられるようになる、と書かれてありました。
なるほどなーと思いながら、一方で、発達障がいの方の、
『自分の感情に気づきにくい』という特性を思い出しました。
他者とのコミュニケーションにおいては、相手の伝えたいことを理解するだけでなく、
自分の気持ちや考えを周りに表現し、相互にやりとりしていきます。
ですが、発達障がいの方々と話していると、
自分は何がしたいのか、どうなりたいのか、という欲求やニーズを、
自身でうまく把握できていないことが、多くあります。
自分の気持ちは目に見えないため、よくわからない、ということもあるし、
シングルフォーカスの特性から、他者にフォーカスを当てていると、
自分にフォーカスを当てることが難しくなります。
つまり発達障がいとは、他者とのコミュニケーションに障がいがあると同時に、
自分とのコミュニケーション、自己の内面での対話、ということにも
障がいがあるのだなあと思い至ったのでした。
私が、このカウンセリングルームを開くにあたって、
個人の面接相談ということにこだわった理由もここにあるのだと思います。
発達障がいの特性を学ぶことを入り口にしながらも、
自身の内面に焦点を当て、自分は何をしたいのか、何を望んでいるのか、という、
自己とのコミュニケーションを丁寧に丁寧に行えるようになることが、
他者とのコミュニケーションを育てていくことにもつながるのではと思うのです。